体圧分散と蒸れ防止を考慮した、3種類のサイズをもった円背の方もくつろげる椅子の開発
佐賀大学医学部付属地域医療科学教育研究センターの松尾清美准教授の研究チームにより、椅子の座り心地や、座った時の姿勢、立ち上がりの動作解析などの基礎研究の末、NONAは誕生しました。


松尾准教授との対談
NONAに込められた想い
NONA開発のきっかけは、平田社長が参加されていた『バリアフリー研究会』で、ハンディキャップのある人たち向けの椅子づくりに取り組んだことだったそうです。
平田椅子製作所社長いわく「それまでのものは、機能面ばかりを気にし、肝心の“座る”ベースができていませんでした。そんな時に、松尾先生との出会いがあり、さまざまな話をうかがう中で、先生の研究室における医療福祉機器の研究開発の成果を応用して、高齢者の日常の生活行動を支援する椅子NONAの開発に着手することになりました」。
『たとえ、立ち座りができなくなっても、寝たきりにならずに自立(律)した誇らしい生活を送りたい』という高齢者に対して、椅子に座る習慣を身につけてもらうべく、身体寸法や体形に合う、座りやすい椅子の開発が求められていたのです。
“矯正する椅子”NONAの開発
「NONAは、“矯正する椅子”なんです」とおっしゃる松尾准教授。 「よく、腰を前の方にずらして座っている人を見ますが、そのような“ずっこけ姿勢”で座っていると、脊椎がつぶれてしまい、それが原因で腰痛を引き起こしてしまう場合もあります。NONAは、立った時のような状態で座ることができるので、実に楽に座っていることができます。また、座ることで、前頭葉からの刺激を受けるようになり、脳の活性化にも繋がります。姿勢を矯正することで、寝たきりの人が座れるように…という具合に、自立を促すことができるんです」。
また、人間工学に基づいて『立ち上がりやすさ』『長い時間座っていられること』を追及したとのこと。
「60名ほどの学生に協力してもらいながら、座り心地や座った時の姿勢、立ち上がりの動作などの解析を行いました。また、素材による圧力分散、蒸れ防止、伸縮性とやわらかさなどを研究し、快適な座り心地のために通気性と耐圧分散性能に優れたクッションをシート全体に採用しました」。
心地よく座ることを目的に、様々な角度から研究が行われました。
人と椅子のあり方に新しい価値を見出したNONA
開発に要した期間は3年。 「試行錯誤を繰り返し、“体にぴったりとフィットする、その人のサイズの椅子”が、この世に誕生しました。ギリシャ語で『9』という意味を表す『NONA』。西海岸、東洋ともに『9』は最高位の数として位置づけられていることから、そのような存在になるべく名付けました。
NONAは、人と椅子のあり方に新しい価値を見出しています。また、最近では、高齢者やハンディキャップのある方だけでなく、健常者の方や若い方からの問い合わせも多くなっていて、さらに新たなニーズも生まれています。皆さんの期待に応えるためにも、よりよい製品づくりに取り組んでいきたいと思います」と平田社長。
今後のNONAの活躍に、ますます期待が高まります。
松尾清美先生のご紹介
■ 松尾准教授のWebサイトはこちら
NONAの開発にご尽力いただいた松尾先生は、佐賀大学の研究室で身体障害者や高齢者の福祉について研究をされています。体にハンディを持つ方や体力の落ちた高齢者について、日常生活を支えるための道具や器具の開発、生活全般や仕事に関しての支援、さらに医学生や看護学生への教育など、お仕事は多岐に渡ります。
ご自身も下半身にハンディをお持ちで、車椅子の生活をされています。だからこそ、実生活の中から生まれる不満やアイデアが研究材料となり、道具として形となり、障害者や高齢者の方々に共感され受け入れられています。
松尾先生がよくおっしゃる言葉は「自立」「自律」。「自分に誇りを持てる生活」こそ「自立」「自律」であると思います。体に障害があっても、五体満足であっても、自分の体を受け入れる、そして上手に使うことが、心にも体にもよい影響を与え、健康につながるのではないでしょうか。
3年前からこの椅子の研究・開発に携わっていただき、アドバイスやご意見をいただいた松尾先生はじめ研究室の学生さん、モニターとしてご協力いただいた皆様、関係者の方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
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